前回、昭和50年代にブームになった『紅茶キノコ』が『Kombucha』と名を変えてアメリカで流行っているというご紹介で結びました。
ファッションに流行のサイクルがあるように、健康関連商品にもそのサイクルが当てはまるようです。
と言いますのも、同じく昭和50年代に爆発的ブームが起こり、そしてあっという間に消えていった『ぶら下がり健康器』。実は今静かな再ブームが起こっているそうです。
私も子供のころ、友達の家に遊びに行くと置いてあってぶら下がって遊んだのを覚えています。いつの間にか洋服ハンガーになっていましたが。
その爆発的ブームを引き起こした原因が、「日本直販テレビショッピング」だったのです。学校から帰ってテレビをつけると、番組の合間にやっていたのを記憶しています。
さて、今回は現在でも健康食品販売で大きな影響力を持つ「テレビショッピング」の歴史を探っていきたいと思います。
どうぞ最後までお付き合いください。
最初は番組の一企画だった
前回ご紹介した『46通知(よんろくつうち)』の前年、1970年(昭和45年)にフジテレビ「東京ホームジョッキー」という番組の中の視聴者企画として“産地直送バーゲン”“を行ったのが、日本でのテレビショッピングの始まりだそうです。
視聴者からの大好評を得た企画は、翌年1971年(昭和46年)に番組1周年企画として日本武道館で行った「オールアイテム日本一大バーゲン」では2日間で7万人を動員するという、テレビメディアの動員催事で歴史的な快挙を達成しました。
これが同年12月に株式会社ディノスとして設立されるきっかけとなったそうです。
当時はまだ、お昼時のワイドショーを見る主婦層をターゲットにしていましたが、その影響力はすさまじく、現在でもその販売方法は衰えを知らず、ジャパネットたかたの高田社長のような名人や、「ショップチャンネル」「QVCジャパン」などの24時間放送のケーブルテレビ専門チャンネルがあるほどです。
私も経験がありますが、深夜帯のテレビ通販は非常に危険です。思考能力が下がっていますので、気がつけば部屋に使わないインテリアと化したグッズが増えることになってしまいます。
余談ですが、ラジオショッピングは意外にも少し遅れて「文化放送ラジオショッピング」として1973年(昭和48年)に誕生しています。
販売形態主役の交代
テレビ通販の圧倒的な潜在能力が示された時期と同じくして、アメリカから「マルチ商法」が上陸します。
1972年(昭和47年)に日本ホリディ・マジックが設立されます。その業態は化粧品販売ですが、サンプル程度の商品しか持たず、主に会員をリクルートしながら勢力を拡大するという典型的な「ねずみ講」ビジネスでした。
驚くべきことに、同年ホリディ・マジック社は本国アメリカで業務停止命令を受けております。情報の発達した現在ではそのような会社が設立すること自体考えられないことですね。
このように社会問題化した「マルチ商法」を取り締まるべく、1976年(昭和51年)に「訪問販売等を規制する法律(通称「訪問販売法」)が国会で成立し、翌年には日本ホリディ・マジック社は倒産しました。
以前も取り上げましたが、訪問販売は健康食品販売において黎明期を支えた販売方法でしたが、悪徳業者は取り締まり強化の結果、自然淘汰されていきました。
もちろん良い商品を真心持って販売されている業者は、現在もがんばっておられます。なんでもそうですが、良いものは続くのです。
替わってテレビ通販を代表とするダイレクトマーケティングが盛んになり、いよいよ健康食品業界も成長期を迎えることとなっていきます。
今回のまとめ
圧倒的な影響力を持って商品を流通させる媒体となった。
こうして健康食品業界も成長期に入っていく。
参照:
ウィキペディア【マルチ商法】