前回で1970年代の世界的な健康づくり運動を取り上げました。
これは1960年代の先進国の化学肥料や産廃汚染による生態系の破壊などの公害が社会問題化し、若者たちによるヒッピームーブメントが世界中に広がったことにも関係があります。
「Sex,Drugs,and Rock’n Roll」のイメージが強いヒッピーですが、そのカウンターカルチャーとしてエコロジーであったり自己実現とより良い社会の構築を夢見た意識の高い文化運動だったように思います。
さて、ここ2回ほど国の対策などの堅い話題を取り上げてきましたので、今回はソフト面である同時代の文化や経済面を取り上げます。
どうぞ最後までお付き合いください。
Made in Japan世界を席巻す
前々回のマクガヴァンレポートのご紹介の際に、オイルショックによる米国自動車業界が深刻な状態に陥ったことに触れましたが、実はBIG3(GM、フォード、クライスラー)を悩ませたのは、1970年に米国環境保護庁(EPA)が改正した『大気浄化法(通称マスキー法)』でした。
世界一厳しいと言われた自動車排気ガス規制は、エンジンシステムの根本的な見直しを必要としました。
そこでいち早く対応したのが、HONDA(本田技研工業)のCVCCエンジンと、MAZDA(当時は東洋工業)のロータリーエンジンでした。
技術に劣るBIG3はロビー活動など政治的に動くしかなく、誰も日本車の勢いを止めることはできなくなります。
また、翌年1971年(昭和46年)に、日清の『カップヌードル』が発売。
73年にアメリカで発売されると、瞬く間に世界中で食されるようになっていきます。
スポーツ面では、1977年(昭和52年)に王貞治氏が、通算ホームラン756号の世界新記録を達成し、日本国民を勇気づけました。
翌78年には、植村直己氏が人類初の北極点到達するなど、日本人の自信と誇りを喚起する出来事が続きます。
そして70年代の最後を飾るに相応しい商品が1979年(昭和55年)に発売されました。
それこそがSONYの『WALKMAN』です。
製品の品質、ファッション性において、まさに世界中の価値観を変えたウォークマンを筆頭に、日本製品は世界中で愛されるようになっていきました。
栄光の80年代へ
1973年と79年の2度に渡るオイルショックの影響で世界経済が混乱する中、その技術と卓越性で自動車と家電の輸出産業は急成長し、80年代は「ジャパン アズ NO.1」と呼ばれるまでになります。
その始まりを告げる1980年(昭和55年)、健康食品業界にもエポックメイキング(新時代を開く画期的な)2つの商品が発売されました。
その2つとは、明治製菓(当時)の『ザバス』と大塚製薬の『ポカリスエット』です。
『ポカリスエット』は以前「コンセプトを伝える」回で取り上げましたので割愛させていただきます。
『ザバス』はプロテイン粉末を牛乳や水に溶かして飲むという食習慣はそれまでにはなく、また美味しくなかったことからも、最初は理解されずなかなか売れなかったそうです。
そこで、講演会を開き介護を必要とするシニアの方に試してもらったり、全国の高校の陸上部に出向き、栄養指導を行ったりするなどの草の根活動を行っていきます。
当時のスポーツ指導者は、東京オリンピックから高度経済成長期の時代の空気を反映したスポ根マンガ(アニメ)の影響で、選手たちに血と汗と涙の伴うきつい練習を課すものの、栄養学などの専門的知識は乏しかったため、若き才能をうまく伸ばせない(怪我をしてしまう、もしくは競技をやめてしまうなどの)状態が続いていましたが、若い世代が国際大会に出て行くようになり、海外のアスリートをとりまく環境から学ぶことで、徐々にスポーツ界に浸透していくようになりました。
それにより、プロテインやビタミンのサプリメントを運動後、効率的にとることでパフォーマンスが上がるという概念が一般的に認知されるようになっていきます。
このような草の根活動は、早期の売り上げには効果が薄いのですが、長期的な普及とリピートという点では効果絶大です。株式会社明治の健康食品事業にかける気概を感じさせるエピソードですね。
最後に余談ですが、スポ根マンガの元祖にして、スパルタ指導者の象徴でもある星一徹についての小話を。
あの有名な卓袱台返しは、実は原作マンガではたったの1度しか登場しません。
テレビアニメのエンディングテーマの際に毎回そのシーンが出ることによって、一徹さんは毎日怒って卓袱台をひっくり返しているかのようなイメージを植えつけてしまったようです。
テレビの影響というのは本当にすさまじいものですね。
今回のまとめ
70年代は日本企業の技術と卓越性でMade in Japan製品は世界を席巻していった。
その勢いの中、80年代の最初にはサプリメントとしてのエポックメイキングな商品が開発された。
参照:
ウィキペディア【1970年代】
ウィキペディア【スポ根】
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最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もお付き合いいただけると幸甚です。
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