前回お伝えした『米国の食事目標(通称マクガヴァンレポート)』は、発表当初、産業界からの強い反発にあったものの、翌年の78年にアメリカ心臓協会がこれに支持を表明。
79年には、アメリカ国立癌研究所も同様の意見を発表したことで、マクガヴァンレポートの信頼性は高まっていきました。
そして、1979年に米国保健福祉省(HHS:United States department of Health and Human service)が中心となって、『ヘルシーピープル(Healthy People)』をまとめました。
これは米国上院議会の報告を受けて、行政側が政策としてまとめた国家プロジェクトとしての10カ年計画です。
その内容は、乳児、子供、未成年、成人、高齢者と人生における5つのステージに分け、それぞれの年代の健康目標を定めたものでした。
その後は、10年後の1990年に向けてのヘルシーピープル1990、2000、2010、2020と続けられています。
日本の場合
さて、我が国日本では、この米国の流れに対して、1年先駆けること1978年(昭和53年)に厚生省(当時)が「第1次国民健康づくり対策」として10カ年計画を作成します。
これは、現在の「健康日本21(21世紀における健康づくり運動)」の前身であり、その基本的な考え方として、
- 生涯を通じる健康づくりの推進。成人病予防のための1次予防の推進
- 健康づくりの3要素(栄養、運動、休養)の健康増進事業の推進(栄養に重点)
を基にした指針を発表しました。
余談ですが、「成人病」という言葉は、この頃から厚生省が使い出し定着したといわれています。
現在使われている「生活習慣病」は、100歳を過ぎてもなお、現役医師の聖路加病院の日野原重明院長が、成人になると病気になるのではなく、生活習慣によって引き起こされるので「習慣病」と改めるべきと提唱され続けた結果、1997年に「生活習慣病」と名称が変更されています。
実は元となるモデルがあった。
この厚生省の「国民健康づくり対策」と米国保健福祉局の「ヘルシーピープル」にはモデルとなる報告書があります。
それが、1974年のカナダ厚生大臣マルク・ラロンドがまとめた「カナダ人の健康についての新たなる展望(A new perspectives on the health of Canadians)」通称ラロンド・レポートです。
これは、死亡や疾病など健康の大きな原因が、個人の生物学的要因だけでなく、社会環境要因も関わっているとした、先進国による最初の報告書として知られています。
その内容は、
「健康に影響を及ぼす要因として、生物学、環境、生活様式、そして医療へのアクセス」
という4つの医療領域を提案しています。
この考え方は、医療環境や生活様式、健康格差の是正を踏まえた健康都市計画などへと発展し、1986年カナダのオタワ市で開催された『第1回健康づくり国際会議』につながっていきました。
このときに採択された『健康づくりのためのオタワ憲章』はWHO(世界保健機関)憲章の前文における『健康の定義』である、
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」
に基づいた、健康づくりについての憲章です。
健康ビジネス発展の土壌はできつつあった
日本も1960年代から始まった高度経済成長を経て、先進国の仲間入りを果たすという気概があったのでしょう。
その反動で表面化した公害などの社会問題を受けて、厚生省も国としての健康づくりに本腰を入れていきます。
折からの健康ブームとあいまって、いよいよ健康ビジネスが花開く時を迎えようとしていました。
次回は健康食品業界に直接影響のあった制度について取り上げてまいります。
今回のまとめ
カナダのラロンド・レポートは、健康が生物学的要因だけでなく、社会環境要因も大きく影響を与えることを認めた先進国による最初の報告であった。
日本もそれに倣い、「国民健康づくり対策」の10カ年計画を作成し、発展させていく。
参照:
ウィキペディア【健康づくり】
ウィキペディア【ラロンド・レポート】
ウィキペディア【健康づくりのためのオタワ憲章】
厚生労働省【健康づくり対策】
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